北海道新聞旭川支社
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北極星

 嶋崎暁啓(豊富・NPO職員)*冬こそサロベツ 2018/02/15

 最近、うれしいことに冬のサロベツを体験する人が増えている。週末になると、愛用のスノーシュー(西洋かんじき)を持参して訪れる近隣住民だけでなく、道外から来て雪原散策を楽しむ人もいる。市街地から離れ、交通アクセスの悪いサロベツ湿原センターに立ち寄ってくれることに心から感謝している。

 かつて夏季のみ開館していたビジターセンターは、2011年に湿原センターに生まれ変わって以降、通年で利用できるようになった。冬季の来館者は当初500人ほどだったが、昨シーズンは初めて2千人の大台を突破した。

 海外からの来館者も増えそうだ。先日、モニターツアーでセンターに来た香港人は、スノーシュー散策を初体験。はじめは慣れない雪を怖がっていたが、道北の豊かな森や荒々しい風と雪が創り出す造形に魅了されたのだろう。約1時間の散策を終えると「楽しかった。またやりたい」と笑顔で話していた。

 この冬は例年になく雪が多い。高さが3メートルを超える巨大な吹きだまりもある。その頂上に立つと、眼前には大雪原がどこまでも広がり、地平線が丸みを帯びているように見える。冬ならではの雄大な自然美に、ただ心を打たれた。これからも何物にも代え難いサロベツの価値を多くの人に伝え続けたい。


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