北海道新聞旭川支社
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北極星

谷紀美子(名寄・非常勤図書館員)*木原康行の銅版画 2018/01/16

 昨年11月、名寄市民劇場が名寄出身の版画家・故木原康行をモデルにした公演「朔北(さくほく)の画家パリに死す」を行った。市民劇場の公演は名寄市の歴史や、この地で生きてきた人々の生活を題材にしたものが多かったが、今回はパリに渡った一人の芸術家に焦点を当てた。

 木原康行という画家はどのくらい知られているのだろう。公演会場になったエンレイホールには「木原康行記念ギャラリー」がある。私は市民劇に毎度、裏方で参加しているので、リハーサルの合間にギャラリーの作品をまじまじと見た。

 一言でいえばものすごく精緻だ。これほどの細かさで複雑に交差し、広がる線の群れを銅板に刻む技は、人間の能力を超えていると思った。

 何が表現されているのかは残念ながらよく分からない。が、劇を通して木原氏のパリでの半生や版画に向き合う姿勢などをちょっと知ることができたし、作品が売れなければ、収入も無いという芸術の世界で生きる厳しさも垣間見た。私と同様に、この劇で初めて木原康行の芸術人生を知った人も多いかもしれない。

 でも作品の理解には遠く及ばないので、誰か作品をお持ちの方は、テレビのお宝鑑定番組に鑑定を申し込んでくれないだろうか。あの番組ならとても分かりやすく画家の生涯や作品の真価を解説してくれそうだ。採用されればの話だけど。


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