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北極星

 斎藤美和(富良野・教員)*負けず嫌い 2017/12/14

 いったい誰に似たのか、7歳の娘は負けず嫌いだ。

 9月最後の土曜日。水泳教室のお迎えに行くと「悔しい。進級テストで合格できなかった。悔しい」。涙ながらに訴える。2カ月に1度しかない進級テスト。7月は欠席したため、友人だけが18級に上がり、クラスが変わってしまった。認定証には、みほコーチから「認定級19級、あと少し! キックを最後まで頑張ろう」とコメントがあった。

 「またYちゃんと一緒になれなかった。ひかるは悔しくてたまらないよ。ママが応援してくれなかったからだ」。恐るべし7歳。矛先が私に来てしまった。「ごめんごめん、心の中では応援していたんだよ」

 思い起こせば自分にも経験がある。徒競走で負けた翌年に1位を取りたくて猛練習したこと。逆上がりができなくて泣きながら公園で練習したこと。負けず嫌いは悪いことではない。むしろ良いこと。悔しい気持ちこそが次のハードルを越えさせてくれるのだから。「次は絶対に合格します」。娘は高らかに宣誓した。

 2カ月後、進級テストがやってきた。娘は口を固く結び、コーチのアドバイス通り、強く強くキックして水面を進む。やった。認定証を掲げて娘が全速力で駆けてくる。「ママ、やったよ。合格したよ」

 苦しみの先には必ず喜びがある。子育ても同じだ。


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