北海道新聞旭川支社
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北極星

 谷紀美子(名寄・非常勤図書館員)*君の名は 2017/10/24

 9月下旬に次女が出産したので茨城県まで行ってきた。無事退院し、名前を決めて出生届を出そうという運びになったが、「命名って、何か特別な形式あるんだっけ、私たちの時はどうしたの」と娘が問う。

 私は「お父さんが何度か練習して半紙に筆で書いたよ」と記憶をたどると、娘は「筆ペンならあるけど半紙は無いな」と言う。私は「今どき筆で書かなくたって、いっそワードの毛筆体でプリントアウトすれば」と手抜き策を提案した。

 新米の両親は「え~、そんなんでいいのかな」と疑いつつ、近所の赤ちゃん用品専門店へ向かった。「やっぱりパソコンで作ってもいいんだって。テンプレートをダウンロードするらしいよ」と言って、「命名セット」なるものを買ってきた。

 名前のほかに写真や手形、足形も添えるようになっている。早速決まったばかりの名前を入力、この世で1日目の写真を貼り、手足の形を取り、完成させた。

 最近の子どもの名前は「孫の名が読めない書けない聞き取れない」なんてシルバー川柳があるほどだが、普通に読める名前だったので安心した。2週間ほど家事手伝いをし、生きる希望も何割か増して帰ってきたら、名寄は急激に冬に向かっていた。寒いし、赤ちゃんもいなくてなんだかつまらない。


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