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北極星

 奥野真人(焼尻・ゲストハウス経営)*もっと気軽に 2017/10/19

 焼尻島の観光シーズンは終わりを迎えた。最近、ちょっとした広報誌や雑誌で移住や定住についてコメントを求められることがある。実はこれがなかなか悩ましい。

 むろん、焼尻をはじめ近隣町村に移住者が増えることは好ましいことだ。しかし安易に勧められるかと言えばそうではない。家も仕事も用意されているわけではなく、前向きな話をしたくても厳しい現実があることを知っている。だから言葉が出てこないのかもしれない。

 さて、こんなふうに葛藤してしまう自分だが、たくさんの人に気軽に焼尻に来てほしいとの思いは変わらない。ゲストハウスを利用してくれるお客さんに島を訪れた動機を聞いてみた。「バイクで走っていたら島が目に入ったので」「旅行予約サイトにこの宿が載っていたから」「ただ単に船に乗りたかった」…。思っていたより軽い気持ちで来る人が多いのに驚いた。こういう視点もあるのかと勉強にもなった。

 移住でも、観光でも、僕が言いたいのは「焼尻に来てほしい」ということ。なのに、この気持ちをうまく表現できないのがもどかしい。4年前、地域おこし協力隊として気軽に移住してきたはずなのに、すっかり頭が固くなってしまったようだ。もっと気軽に考えてみようかな。


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