北海道新聞旭川支社
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北極星

 森川理加子(士別・演劇集団主宰)*蛇と猫 2017/10/12

 わが家周辺には蛇がいる。蛇は苦手だが、農家のわが家にとってネズミを駆除してくれるありがたい存在なので基本的には放置だ。何もしなければ人間を攻撃してくることもない。だが、こちらが静観していても、事を荒立てる存在はいるものだ。わが家の場合、それは猫だった。

 うちの猫はとても私に懐いていて、その日も私の足元にまとわりつきながら畜舎にやってきた。そこでバッタリ遭ったのが体長1メートル以上あるアオダイショウ。あっ、と思ったときには猫はシャーッと威嚇し、蛇もサッととぐろを巻いて威嚇し返してきた。

 思わず私が1歩引いた瞬間、2匹は目の前でらせん状に絡みあうようにして真上に跳んだ! 高さは私の胸の辺り。腕を伸ばせば触れてしまうほどの至近距離である。思わず数歩後ずさりしたところで、2匹は地面に絡み合いながらドタッと着地。蛇はすばやく排水溝へ、猫は一足飛びで私の胸へ飛び込んで来た。

 猫同士のときは片方が逃げたらもう片方はしつこく追いかけるが、この時は蛇も猫もお互い逃げるのに必死。猫は私の胸にしがみつき、先ほどの勇姿はどこへやら、全身総毛立ちでガタガタと震え、しばらく離れようとしなかった。私は沖縄で見たハブとマングースの見せ物より、アオダイショウと猫の戦いに興奮してしまった。リアルって面白い。


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