歯磨きをしながら、いつものように窓の外に目を向けると、いつもと変わらないオホーツク海が見える。「波が荒いなぁ」「凪(なぎ)ているようだ」「ずいぶんゴメがいるなぁ」などと、無意識のなかに刷り込まれていく。 大きなえたいの知れない物体が漂っていて、寝ぼけた頭が急に起きだしたある朝。川がたくさんの流木を押し流したというニュースをきいていたものの、とっさに結びつかなかった。 サケの定置網漁が始まっていたので、その漂流しはじめた流木の被害が出る。そんな秋が過去にあった。想定外という言葉が、もはや、日常のなかにあるような気がする。 ぼんやりとまた、海を眺めていると、「今年は一度も目の前の浜に行っていない」と思い出す。そんな夏は初めてかもしれない。 歩きながら空を見上げると、筆をサッと走らせたような雲が青空を駆ける。道端には、ススキが穂を伸ばし、ハギが花を咲かせている。夏を実感しないままに、静かに秋が寄せてきたようだ。 一転、静かでは困るのは、港。オホーツクの秋は、サケ。水揚げが始まり、活気づく。もちろん、早速いただいて、ほくほくと味わうと、秋を感じられる。 窓の外を眺めてばかりだと、やっぱりいけないな、と思いながら、今日も海をみていたりする。 |