北海道新聞旭川支社
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北極星

 大谷真樹子(旭川・おでん屋店主)*もったいない 2017/09/12

 「もったいない」で、すぐに思い起こすことは、父が昔、食後にお釜を洗ったときに必ず、お釜の内側についた米粒を網ざるで受け取り、一粒たりとも捨てないでいたことです。

 「お百姓さんが大切に育てたお米なんだよ。あなたたちもお茶わんに一粒でも残さず、感謝して食べるんだよ」と必ず言っていました。今もその教えは守り続けています。

 2013年発行の月刊誌「致知」を久しぶりに読み返しました。

 フォトジャーナリストの笹本恒子さん(当時98歳)と作家・エッセイストの清川妙さん(当時92歳)による対談「人生の本番はいつもこれから」です。

 百歳を前に一日がもったいないと言っています。「今年1年保(も)たないかもしれない」「明日起きられないかもしれないと思ったりしている」「小さいときは毎日が真っ白、50代、60代になると次第に線がひいてあるような感じ、いまは日々が原稿用紙のマス目みたい、このマス目のような毎日を一日一日丁寧にきちんと過ごしたい」

 私たちの年代でも同じようなことを考える日々です。すてきな85歳の女性のお客さまが「今日もおいしく飲んで、食べなきゃ生きてることがもったいない!」と、言っていました。

 昨年はできたことも、来年になるとどうかな? ならば今年、もう一度挑戦してみようと考えます。探求心と好奇心を常に持ち続けつつ、お米の一粒の「もったいない」、生きていく上での「もったいない」、どちらも大切にしなくてはね。


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