北海道新聞旭川支社
Hokkaido shimbun press Asahikawa branch

北極星

 柴田えみ子(旭川・尊厳死協会道支部理事)*職業病 2017/08/31

 講演活動や新聞連載で常に「死」と向き合っているせいか、時々言動がおかしくなります。

 以前、足を骨折した友人を病院に見舞った際に「じゃ、帰るね。ちゃんと養生してね」と言うつもりで、「じゃ、帰るね。ちゃんと往生してね」と言ってしまいました。はっと気づきましたが、後の祭りです。生きた心地がしないとはまさにこのこと。自分が往生しそうでした。幸いだったのは、一瞬の間をおいて病室が笑いの渦に包まれたことです。

 また先日は、年なので厚化粧をやめたという友人が「見て、見て。こんなんでどう?」と顔を出しました。スッキリした化粧に「あらー、その薄化粧の方がずっといいわ」と、私は褒めようとしました。なのに、あろうことか口をついて出たのは、「あらー、その死に化粧の方がずっといいわ」。追いかけられてバシ、バシとたたかれる羽目になってしまいました。実はその数日前に講演で、「送り人」や納棺の話をしたばかりだったのです。

 さらに、タイヤをパンクさせた友人には「あらら、こんな所で大往生?」。そうです。「立ち往生」と言いたかったのです。笑われたり、追いかけられたり、絶句されたりするたびに、「職業病」と必死で言い訳をしています。


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