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北極星

 伊藤由紀子(留萌・主婦)*忘れてならないこと 2017/08/22

 今年も広島平和記念式典をテレビで見た。強い日差しの会場に人びとが席に着き、日よけの白いテントが張られていてほっとした。

 20年前、式典に参列した時は、遺族席にも一般席にもテントはなく、焼けるような日差しを1時間以上浴び続けた。原爆で亡くなった人を思ったら、暑いなんて言えなかった。一緒に参列した小学生たちは汗を拭きながらも、静かに「平和宣言」を聴いていた。

 今年もテレビの中では、2人の小学6年生が用紙を一度も見ずに自分の言葉で平和への誓いを述べた。次に登壇した総理大臣は用紙を必死に読んだ。誰かが書いたものと思われ、心がこもっていなかった。

 長崎に行った時は平和祈念像と平和の泉の前で合掌した。平和の世を長く続けることは大人の責任と思う。「核」を持たない、使わないという国際的な約束事に一番先に署名しなければならない日本の総理大臣は「署名しない」と言って、原爆の被爆者や福島の原発事故で被ばくした人の気持ちを逆なでしている。

 きょう22日は、72年前に樺太からの疎開船3隻が小平、留萌、増毛沖で旧ソ連軍潜水艦の魚雷を受けた「三船遭難」の日。1708人が犠牲となった悲劇は忘れてはならないと思う。午後1時から、留萌の黄金岬近くの「平和の碑」で遺族たちと共に不戦を誓うつもりだ。


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