礼文島を代表する海産物といえばウニと昆布である。ウニは早春からムラサキウニ漁が始まり、6月からはバフンウニ漁も行われる。 昆布は、7月から漁が始まり、ウニ漁と重なる9月まで、浅瀬には頻繁に磯舟が浮かび、浜辺では手伝いの人々が日々行き来するなど、島が最もにぎわう時期となる。 この二つの海産物、どちらも高級品であるが、その歴史をたどると、とても対照的な一面が見えてくる。 昆布は江戸時代、礼文場所の産物としてたびたび文献に登場し、明治時代でもニシンに次ぐ産物であった。 また、走り・中・後と区別される漁期や、幅や長さなどの規定による等級など、品質の維持と価格の安定化に対して、早くから組織的な取り組みが行われてきた。 一方ウニは、大正時代になって文献に登場するが、その記述は「主として塩辛とする」のみである。同じ文献にある昆布は2ページも記述があり、大きな差がある。それは、海藻をエサとするウニは、昆布を食べることもあり、どちらかと言えば邪魔者扱いされ、長らく自家用に食べる程度だったからである。 それが、昭和30年代末から離島観光がブームとなると、ご当地グルメや土産として、一躍脚光を浴びるようになった。 そして今では、缶詰にもかかわらず数千円の値が付く蒸しウニ缶が、お取り寄せ品として大人気だとか…。 |