北海道新聞旭川支社
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北極星

 大橋美智子(旭川・農業)*朝寝坊遍歴  2017/05/25

 今は田植えの最盛期。始まりから終わりまで、けがをしないよう、事故を起こさぬよう、気を張って挑む。疲れのピークは3日目にやってくる。仕事のペースに体が慣れて緊張が少しゆるんでしまうせいか、いつも3日目が一番つらい。疲れているのに眠れず、睡眠のリズムを崩す。だがその頃はまだ、朝はちゃんと起きられる。

 それからさらに数日、いよいよ田植えも終盤、明日には終わるという頃に、先が見えて安心するせいか大きく気がゆるむ。毎年のようにそのあたりで私は大寝坊をする。20代の頃は優しく起こしてくれた夫も30代になると、ものも言わずいきなり布団を?がすようになり、なんて愛のない人だろうと思ったものだ。しかし年とともに寝坊をしても黙って放って置かれるようになり、そのときほど気まずいことはなく、起こしてくれるうちは愛があったのだと気づく50代。

 朝ごはんは6時から。私が寝坊すると夫がみそ汁を作る。台所に立つ夫の背中で怒りのオーラが燃えている。とても近寄れない。

 それが不思議なことに50代最終章の最近は怒りのオーラが消えている。愛の復活か、それとも完全にあきらめられたのか。

 いずれにせよ今年の田植えもあと少し、最後まで気を抜かず頑張ろう。


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