北海道新聞旭川支社
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北極星

 伊藤由紀子(留萌・主婦)*3月に思ったこと  2017/04/04

 春のやわらかな日差しに包まれながら雪の上でスポーツやゲームを楽しむイベント「萌(もえ)っこ春待里(はるまつり)」は18年前の3月に始まった。「留萌の春は何もない春です―」を打ち砕くように、力強い女性たちが「子どもたちに雪の上で楽しみを」と立ち上がった。

 彼女たちを支えてきたのが、その前年まで毎年「留萌やん衆どすこほい祭り」を開催してきた男性たち。「萌っこ春待里」と名前は変わっても陰になり日向になって、テントの組み立てや撤収などの力仕事を手際よくやってくれている。

 だが2011年は唯一中止となった。イベント2日前に東日本大震災と巨大津波、原発の爆発があったためだ。地震と津波は多くの命を奪った。原発が破壊され、炉心の処理がいまだにできないでいるのが怖い。東京電力は、原子炉格納容器内部を調べるため国の予算を使って投入したロボットが炉心の放射能で働かなくなったと、他人事のように発表した。放射能の強い危険な場所で働く作業員と住民、特に子どもたちの健康を心配している。

 さて今年の春待里はどうなったでしょうか。準備に最初から参加してきた私は、イベント前日からの猛吹雪をにらみつけていたが、当日の予報も吹雪で、前日に中止が決まってしまった。来年の春待里は2倍楽しもうと腕をさすっている。


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