北海道新聞旭川支社
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北極星

谷紀美子(名寄・非常勤図書館員)*ゼロ乗は1  2017/03/23

 長かった冬も終わりが見えてきて心から安堵(あんど)している。冬はほとんど車で通勤しているのだけど、信号待ちで前の車のナンバーの四つの数字を足したり引いたり、掛けたり割ったりして10にするのが習慣だ。ぱっと見ただけで瞬間的にできると「よし!」と思うし、どうやっても無理で、残念な時もある。数字が三つしかない時やゼロが入っていると難しいことが多い。

 私は図書館員なので、三ケタの時は図書の分類番号を思い出すこともある。ほとんどの図書館は「日本十進分類法」によって、図書に番号を付けており、本の背に貼られたラベルに印字されている。

 私の車のナンバーは「730」で、分類では美術の「版画」を意味する。すれ違いざまに「383」なんて見かけると「あ~食文化だな」と思う。この分類番号を暗号に使って「図書館殺人事件」的な推理小説にできないかと妄想する。ダイイングメッセージに使うのだ。でもそもそも小説を書ける気がしない。

 さて、冒頭の数字のことに戻るけれども、ゼロがある時に苦肉の策で「ゼロ乗」として他の数字を「1」にしてしまうこともある。何かのゼロ乗が1だということを、高校の数学のどこかで学んだらしく奇跡的に覚えている。しかし、それがどういう理屈なのかは全く分かっていない。


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