北海道新聞旭川支社
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北極星

稲荷桂司(旭川・公務員)*冬の日のあこがれ  2017/02/25

 静岡の知人とメールのやりとりをすることがある。ときどき旭川の気温の報道を見るらしく、今日はマイナス20度だってね、などとコメントをくれる。

 確かに旭川の最低気温としてそう報道されることもあるが、それはたいてい郊外の江丹別地区の記録で、私の住んでいる市街地はせいぜいマイナス10度台。それでも静岡では目いっぱい寒くて0度、雪が1センチも積もれば大騒ぎ、という気候のようで、そんなところからすればマイナス10度を下回る日が何日もあるというのは想像を絶するようだ。

 その旭川の市街地にある観測所で史上最低気温マイナス41度の公式記録が出たのが明治35(1902)年1月25日。映画「八甲田山」で描かれた、陸軍が雪中訓練で遭難した日だ。現在は都市化が進んだせいか市街地でそのような記録が出ることはないが、郊外ではやはり冷え込むので、いまのような暖房や自動車の排気熱などが無ければ市街地でも郊外並みに下がるのかもしれない。

 マイナス10度に近づくと靴底が雪を噛(か)んでギュッギュッと鳴る音、水蒸気が凍りついてキラキラ光るダイヤモンドダスト、こんなことは北国でなければ味わえない。寒い朝に震えながら出勤したり、雪かきに苦労したりすることのない南国に憧れることもあるが、かといって内地の湿気と暑さに耐えられる自信もない。憧れは憧れのままでいるのが一番なのだろう。


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