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北極星

沢田健(富良野市博物館学芸員)*ありがとう島ノ下駅 2017/02/03

 昨年12月4日、JR留萌線の留萌―増毛間が運行を終え、8駅が廃止となった。大きく報道され、深く印象に残った。そんな折、1日平均乗車人数が1人以下のため、今年3月で廃止となる地元の根室線・島ノ下駅に足しげく通い始めた。

 島ノ下駅は、当時の釧路線・滝川―下富良野(現富良野)間が大正2年(1913年)に開業し設置された。尻岸馬内(しりきしまない)川流域で産出する木材輸送にも供され、昭和初期の温泉開発以降、温泉客でにぎわった。鉄道統計年報によると、昭和30年代前半には年間約十数万人が乗降した。

 自家用車の普及や人口減で利用者は激減、2軒あった温泉も昭和49年(1974年)、同62年に閉業した。開業当時の趣のある旧駅舎はすでになく、同52年建築の現駅舎も同57年に無人駅となった。上りホームにはさび付いた名所案内の看板が掲示され、島ノ下温泉と紅葉の景勝地を寂しげに紹介している。

 昨年11月に駅舎の撮影に訪れた際、札幌から来たという紳士な「鉄ちゃん」から、駅構内の特徴など教えを受けた。いわく、廃車や廃駅などが報じられた途端に繰り出す人々を「葬式鉄」と俗称するとのこと。その是非はともかく、104年もの間、地域とともに歩んできた歴史ある駅で、列車の停車風景が見られるのも残りわずか。感謝を込めて目に焼き付けたいものだ。

 博物館は、同地区の宿泊・温泉施設「ハイランドふらの」で18日から、昭和20~40年代の写真を中心とした島ノ下駅のミニ企画展を開催予定。ひとっ風呂浴びるついでにご覧いただきたい。


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