北海道新聞旭川支社
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北極星

大橋賢一(道教大旭川校准教授)*ルドルフ・マインル   2016/11/25

 二十数年前のこと、大学合格のお祝いに両親からチューバを買ってもらいました。ドイツの職人が手作りしたルドルフ・マインルという楽器です。

 先日、高校の後輩でドイツバンベルク交響楽団専属客演チューバ奏者の濱田孝紀君が演奏会を開催するにあたり、この楽器をぜひ借りたいと連絡を受け、快く貸しました。二十数年ぶりに再会した濱田君は、高校の頃と同じくはつらつとしていました。

 去る11月7日、濱田君とゲストのバンベルク交響楽団ハイコ・トリーベナーさんのチューバ、陸上自衛隊第2音楽隊の竹内広三さんと国立音楽大学非常勤講師の安東京平さんのユーフォニアムの、4人による演奏会が札幌サンプラザで開催されました。

 濱田君は僕の楽器をすてきな音色で響かせました。特に低音がズーンと響き、その音に酔いしれました。竹内さんと安東さんのピッタリと息のあったデュオ、ハイコさんの素晴らしい技巧が披露されたモンティ作曲の「チャルダッシュ」、聞き応えのある演奏会はあっという間に時がすぎました。最後の曲は「赤とんぼ」。ドイツ人のハイコさんが、まるで日本人のように心をこめて吹奏してくれました。

 僕の楽器が導いてくれた今回の演奏会―人と人とのつながりの良縁を感じます。7年続いた「北極星」の連載は今回が最後です。読んでいるよ、と声がけしていただいたのが励みになりました。「北極星」が結んでくれた読者とのご縁を、今後も大切にしていきたいです。


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