北海道新聞旭川支社
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北極星

谷紀美子(名寄・非常勤図書館員)*アルバムのゆくえ   2016/10/28

 うちの子どもたちが生まれた1980年代は、まだフィルムカメラの時代だった。24枚とか36枚とかの限られた枚数を撮り、写真屋さんでプリントしてもらう。時間もかかり、出来不出来におかまいなく料金もかかったけど、それはそれで楽しみなことだった。

 去年、今年と娘たちが結婚し、この際、家に置いてあったアルバムを引き取ってもらうことにした。私はなかなかきちょうめんな性格なので、3人いる子ども別に焼き増ししてそれぞれのアルバムに張っていたから、一人分が何冊もあるし、アルバム自体も大きくてかさばる。これを送りつけられても迷惑だろうから、コンパクトタイプにまとめようと思い至った。

 台紙のフィルムをめくって写真をはがし、残すものを選んでいく。赤ちゃん時代は特にすごい量だ。「この頃はこんなにかわいかったのに…」などと感慨に浸ったり、時折登場する若い自分にびっくりしたり、しばし手も止まる。フィルムの無駄遣いやどうでもいい写真もけっこうあって、それは「没」の箱に振り分ける。小学生になると、夏休みや冬休みの旅行などがメインになり、中高生になると学校行事や部活の写真がほとんど。家にあるのはそこまでだ。

 切り取った一瞬一瞬は意外に鮮やかに過去を呼び戻し、30年ほどの歳月がダイジェスト版で脳裏に展開した。すっかりスリム化したアルバムが出来上がった時には、なんだか長い旅でも終えたような気分だった。


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