ある日、娘がしみじみと言った。「ママ、絵本読むの上手だねぇ」。そりゃあね、ママは実はずっと演劇をやってきたからね。セリフの抑揚はもちろん、高い声から低い声、きれいな声からガラガラの声まで、なんでもござれよ!と、口には出さずともまんざらでもない私(笑)。 そのせいか、娘はやたらと私に「絵本を読んで!」と迫ってくる。台所で料理をしていようが、お風呂掃除に汗を流していようがお構いなしだ。 ある日、たまたま遊びに来た親戚が見かねて「どれ、ママ忙しいからオジサンが読んであげる」と言っても「いや、ママがいいの」と拒否する始末。ああ、私がうますぎるばかりにすまんのう…と、親戚に心の中でわびていると、なんとか娘を言いくるめたらしい親戚の声が聞こえてきた。 「おばあさんが川で拾った桃から生まれたのが桃太郎なの」「それで桃太郎は犬と猿と鳥にキビ団子をあげて家来にしたの」 桃太郎なのは分かる…だけど何故、物語の内容を要約して聞かせているのか。途中経過より結論重視で「要するに~」とまとめてしまう。なるほど、これがいわゆる男脳というやつか。逆に女は、とにかく一見ムダとも思える情報をいっぱい伝えたいし、聞きたいものなのだ。 親戚としては分かりやすいように話しているつもりなのだろうが、たぶん、それは小さくとも女である娘にとっては面白くないのだろう。ん? ひょっとして旦那も要約するタイプ? 娘の様子からして、あり得るかも…
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