北海道新聞旭川支社
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北極星

斎藤美和(富良野・教員)*学芸会  2016/10/01

 すっかり秋めいてきた9月中旬、娘の学芸会の日がやってきた。

 小学校に入学して初めての学芸会。演目は「おおきなかぶ~友情物語」。1年生全員70人で演じる。1カ月前に台本が配られ、オーディションにより配役が決まった。ナレーター9番を任された娘。毎晩、発声練習と歌と踊りの練習を欠かさない。

 当日、午前5時に飛び起きた娘は、大きいリボンのポニーテールで意気揚々と登校した。前日から富良野入りしていた母、三脚にビデオとカメラを構える夫といささか緊張した私は、最前列から2列目で登場を待った。

 演目が始まった。おじいさん、おばあさん、孫娘、サル、犬、猫、AKB、エグザイルまで登場。ついに娘が立ち上がった。スポットライトが当たって、大きく息を吸う。

 「おばあさんが、おじいさんを、ひっぱって」。小さな体から渾身(こんしん)の力を振り絞り、聞いたこともないような大声を響かせた。フィナーレでは、1年生全員が一体になって歌い踊った。会場は感動の渦に。あやうく涙がこぼれそうになった。どの子も自信に満ちた表情。保育所、幼稚園時代からの急速な成長が見えた。

 翌日の寝る直前、「あっ、日記の宿題があったんだった」と大慌て。「おばあちゃんとお母さんとお父さんの応援で、大きな声が出せました。うれしかったです。」と記された。

 支えたり支えられたり、感動したり感動させたり、いつでも家族は素晴らしい。


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