北海道新聞旭川支社
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北極星

有村幸盛(旭川・文化団体事務局長)*違和感  2016/08/26

 旭川市の出前講座で、新庁舎建設基本計画について説明を聞く機会がありました。全体の構想は素晴らしいのですが、胸に違和感が残りました。それはなぜだろうと考えてきましたが、最近、ようやく頭の中が整理されてきた気がします。

 一つは、計画では2期に分けて大小2棟の建設と、現時点で建設費が不明な市民文化会館の建て替えが入っているため、最終予算が不明なことです。高齢化と人口減が進む旭川で、この事業が財政的に可能なのか、疑問を感じました。

 もう一つは、計画が現総合庁舎だけでなく、市民文化会館、第3庁舎など、周辺施設のほとんどの解体を前提としていることです。

 確かに、全体を新しくすれば、すっきりして使い勝手も良くなります。ただ、古いものを絶対視するわけではありませんが、彫刻美術館や文学資料館などのように、古い建物を活用することには、旭川の歴史的な味わいを残す効果があります。公会堂のように、閉館の可能性があったものの7万筆を超える署名で存続が決まり、耐震補強と改修、増設が行われて、機能が向上したケースもあります。

 市庁舎や文化会館のように大きな建物の解体は、大量の産業廃棄物や騒音、周辺の渋滞も心配です。私見ですが、まず第1期の新庁舎建設に着工し、その完成後、文化会館や現総合庁舎について改修か建て替えかを検討し、結論を出してもよいのではないでしょうか。

 特に、現総合庁舎については建築学的な価値を指摘する意見がありますし、旭川を感じさせるシンボル的な存在でもあります。新庁舎建設は市民全体で考えるべきテーマです。幸い、基本計画の出前講座は9月いっぱい可能です。ぜひ、皆さまの地域や団体で開催していただきたいと思います。


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