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北極星

藤沢隆史(礼文町教委主任学芸員)*少子化と伝統芸能  2016/08/13

 礼文島に残る唯一の伝統芸能は、厳島神社神輿(みこし)渡御行列の一角を占める町指定無形民俗文化財、四ヶ散米舞(しかさごまい)行列である。

 島の南部、香深地区に鎮座する厳島神社では毎年7月15日に例大祭が行われ、神輿が香深地区一円を渡御する。その際、神輿の先導役を務めるのが四ヶ散米舞行列である。

 四ヶ散米舞とは、松前神楽23座の一つで、4人の神職が弓や剣などを持って舞うものであるが、江戸時代に松前藩の領民たちが参加して行列化されたという。

 この行列は、明治時代に入って福島大神宮(渡島管内福島町)において引き続き行われ、明治中頃には現在行われている形となったという。そして、昭和時代初頭に、厳島神社第3代宮司、常磐井武四郎(ときわいたけしろう)氏によって礼文島へ伝えられた。

 この行列は、もともと大人が参加するものであるが、礼文島では、伝承当時から現在まで、小学校高学年の児童が参加する。

 昭和の終わりころまでは子供の数も多かったため、神社周辺の児童や、男子のみが参加できるなどの条件もあった。

 しかし、平成に入ると少子化が進み、現在は、女子の参加と、学校統合による広範囲な地区の児童が参加して、かろうじて行列が維持されている状況である。

 島に子供が暮らす限り、この行列が行われることを願い、今年、町ではこの行列を映像に記録し、後世に伝える事業に着手した。

 初夏の風物詩として、香深地区の大人と子供たちが総出で奉仕するこの祭が、これからもにぎわいを見せる島一番の祭りであってほしいと願うばかりである。


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