北海道新聞旭川支社
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北極星

安川としお(士別・朗読パフォーマー)*順番待ち  2016/05/07

 順番を待って並ぶのが大嫌いだった(好きな人は誰もいないか)。だから、「指定席」というものにすぐに飛びついた。しかし、その指定席を買うために、発売日に並ばなければならないという矛盾が生じてきた。

 学生時代、帰省列車の寝台券や座席指定券を買うために、発売日の前日から駅のみどりの窓口に寝袋を持参して徹夜で並んだこともあったが、それは数人の仲間が付き合ってくれたから、キャンプ気分でできたことだ。

 大型連休。テレビの映像を見ていると、駅や空港、テーマパークやイベントの会場は利用者、入場者でごった返している。

 最近は、人の流れをコントロールするために、ベルト式のパーティションが設置されている場所が多い。ジグザグに設置された仕切りに沿って、何度も方向転換を繰り返す。

 やっと受け付けや券売所に行き着くと、そこで係員に指示され、放射状に振り分けられる。手続きを済ませると、その先もまたジグザグのパーティションに送り込まれる。

 まるで、何かの実験のために迷路に追い込まれたモルモットのように、あわれな状態に置かれている。こちらが客であるはずなのに、運行会社や主催者の意のままに誘導されるようで、どうも釈然としない。

 「ほしい、乗りたい、見たい」と人が集中すれば、順番を待たなければならないのは当然かもしれないが、待ち時間の短縮のために、血の通ったさらなる工夫がほしいと思う。


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