北海道新聞旭川支社
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北極星

谷紀美子(名寄・非常勤図書館員)*道新幹線開業の明暗   2016/03/29

 先日用があって道南方面に出かけた。遠くに函館山を望む平野に、新函館北斗駅が出現し、新しい案内標識と道路も整備されていた。

 私は渡島管内七飯町生まれだからよく知っているが、ここは七飯駅の一つ札幌寄りの渡島大野という無人駅だった。「大野」と名がついてはいたが、大野町役場からは数キロ離れて、最寄り駅ともいえず、この駅で降りても何の用も足せない感じだった。

 七飯駅とて、国道5号線沿いに役場や学校、商店街が集まる中心部から若干遠く1キロほど離れているが、ちゃんと駅員もいる駅だ。ところが駅の存在価値も微妙だった渡島大野駅が北海道新幹線開業で堂々の新駅になった。大躍進だ。

 大野町は10年前に上磯町と合併して北斗市になった。米をはじめとする農産物と津軽海峡の海の幸を併せ持つまちになり、あのゆるキャラ「ずーしーほっきー」も登場した。新駅に「北斗」を入れることにも成功し、「北斗市ってどこ?」なんてもう言わせないという勢いだろう。元七飯町民としては「まぁ~お隣さん、出世しちゃって」という気分だ。「ずーしーほっきー」のとぼけた顔つきもなんだか、ちょっとしゃくに障る。

 さて、新幹線開通は道民としてもうれしい限りだが、ここ道北ではほとんど恩恵がない。新函館北斗駅までたどり着くのに6時間! しかもダイヤ改正の際に「Sきっぷフォー」が廃止された。何も便利にならないどころか、一番使い勝手の良い切符がなくなって、ほんと腹立つ。


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