北海道新聞旭川支社
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北極星

大橋賢一(道教大旭川校准教授)*手書きとワープロ  2016/01/15

 2011年以来、三浦綾子作文賞の審査委員を務めさせていただいています。今年で17回目を数えるこの作文賞には毎年、全国の小中高校生から応募があります。僕は多くの力作を誰よりも早く読ませていただく機会に恵まれ、幸運に思っています。今年は1月9日に表彰式がありました。

 近年、中高の場合、手書きとワープロを使った原稿とが、ほぼ2対1ぐらいの割合になってきたことに気がつきました。手書き原稿からは、いろんな個性が見えてきます。マス目いっぱいに大きな字で堂々と埋めていく生徒、小さな字でこぢんまりと自信なさげに埋めていく生徒、薄い鉛筆や濃い鉛筆を使う生徒…書き方は千差万別です。原稿用紙を通して人柄さえも見えてくるようです。

 ワープロの原稿は誤字や脱字も少ないし、字の濃い薄いもない分、読みやすく、内容に集中して読むことができます。しかし、手書きに比べると物足りなさを感じます。審査に影響があるわけではありませんが、手書きの原稿には書いた人のぬくもりやあたたかさが伝わってくる、ということだけは意識していてほしいと思います。

 といいながら、この原稿はワープロで作っています。時間節約のため、と言い訳がましくなりますが。もちろん、手紙などは手書きにしています。アナログとデジタル――上手に使い分ける能力を身につけることの大切さを、今後も教師を目指す学生たちには伝えていきたいです。


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