北海道新聞旭川支社
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北極星

村山修(枝幸・ダイニングバー店主)*願うこと  2016/01/13

 昨年末、携帯にテレビ通話の通知が入った。30年来の悪友からで、何事か?と思い、出てみると、どうやら空港からの電話で、彼と娘さんが映っていた。

 これから初めて親元を離れ東京での生活をスタートさせるのだという。大学では追いきれない夢を、まずは2年間という約束で、東京で勉強をするという出発のメッセージだった。

 彼女が生まれてから、寝かしつけたり、遊び相手になったりしたのが、ふと、思い出された。父親の同級生のおじさんを呼び捨てで呼ぶのは仕方ないとして、その決意とバイタリティーは、すごい。頑張る気持ちがいっぱいの彼女に、「頑張ってな」という言葉はかけられない。

 町の子どもに、一緒にちょっと頑張ってみようか、と声をかけることをするような委員を担当して丸5年がすぎた。「主任児童委員」という役で、100年ほどの歴史を持つ民生委員制度のなかでは、まだ20年ぐらいなのでほとんど認知されてはいないけれど、全市町村に置かれている。

 僕が卒業した枝幸小学校の同級生は150人ほどいる。今では、1学年50人前後で、少子化問題というお題目を実感できる。ワイワイガヤガヤ子ども同士でやっていた昔は遠く、今は、よくわからない大人の手厚い関与がある。

 「オサム、行ってくるね」と、しなやかで強い笑顔はこんなおじさんの胸をうつのだった。この町の子どもたちが、みんな、そうでありますように。


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