北海道新聞旭川支社
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旭山動物園わくわく日記

カピバラ姉妹「はるみ」と「はるか」*温水プールでリラックス    2020/01/27
温水プールに入ろうとする、はるみ(右)とはるか姉妹(打田達也撮影)

 いてつく冬の寒さとは対照的に、屋内展示施設「かぴばら館」では、カピバラ姉妹のはるみ(4歳)とはるか(同)が25度の温水プールの中でぬくぬく過ごしている。昨冬、給湯器が設置されてお湯が出るようになった。寒さが苦手な2頭にとって、温水プールは冬を乗り越えるために欠かせない設備だ。

 カピバラは中南米の温かい地域に生息し、水辺はジャガーなどの肉食動物から身を守るための「安全地帯」。指の間に大きな水かきがあり、飼育員の中野奈央也(なおや)さん(31)は「普段はおっとりしているように見えるが、水中では他の動物がかなわないほど速く泳ぐ」と話す。動物園では夏季のみ屋外展示施設でクモザルと同居し、ちょっかいを出されたカピバラ姉妹が度々、水辺に逃げる姿が見られる。

 クモザルがいない冬、姉妹はいつにも増してリラックスしている。プールは便所でもある。水中で用を足すのは、ふんの臭いが抑えられ、自分の痕跡を隠せるためとみられている。中野さんは「特にふんをするときは踏ん張るので、敵に狙われやすい。比較的安全な水中で排せつをすることで、いつでも逃げられる体勢を整えているのでは」と推察する。

 息をしなくても5分ほど潜っていられるのも特技の一つ。記者は、来園者から「カピバラの顔が見えなくなるほど、潜水しているのを見た」という話を聞き、カメラマンと10回ほど足を運んだ。だが、残念ながらカピバラはプールにお尻の半分を入れる程度。水中のカピバラを見るには、プールの水温が高い午前中が狙い目のようだ。

 そんな姉妹の前でシャッターチャンスを狙っていると、来園者が次々と訪れ、「意外とでかい!」と驚いている。そう、カピバラの体長は1メートル以上で「世界最大のネズミの仲間」なのだ。中野さんは「ねずみ年にちなみ、園内を回って同じげっ歯類のモルモットやエゾモモンガ、エゾリスも見てほしい」とPRしている。(若林彩)


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