動物たちの健康を支える餌の調理場。栄養のバランスが大切なのは人間も動物も変わらない
本格的に雪が降り始め、旭川も長い冬に入りました。私たちにとっては雪が多く、気温もぐっと下がるため、少しおっくうになってしまう季節ですが、寒い所で生活する動物にとっては待ちに待った冬といった感じでしょうか。私の担当するホッキョクグマも夏に比べ活発になり、新雪にゴロゴロと寝転んでみたり、プールに張った氷をバリバリ割ってみたりと、早くも冬を満喫しています。季節的には、このままホッキョクグマについて書きたいところですが、今回は私のもう一つの担当の「飼料」を取り上げます。 飼料という担当は、動物園で使用する餌を管理するのが仕事です。各動物の餌を用意し、発注や支払い、在庫管理などもしています。実は飼料の担当は新人で動物園に配属されて以来、14年ぶり2回目になります。当時は動物園全体を把握するためということで担当しましたが、右も左も分からない状態で、与えられた業務を淡々とこなすだけでした。それからさまざまな経験を経て、今年改めて担当してみると、いろいろなことに気付くようになりました。 以前に比べ動物の数は減っていますが、年間の餌代は年々高くなっています。限られた予算の中で、動物の日々の心身の健康や栄養バランスを考え、餌の質を向上させる工夫がこれまで以上に求められています。 冬を迎える前の秋は実りが多く、動物たちにとっても良質な餌をたくさん食べてエネルギーや脂肪をしっかりと蓄える大切な季節です。毎年、市民をはじめ、多くの方から餌の寄付を頂いています。ドングリやクルミなどの木の実のほか、トウキビやスイカ、カボチャ、小松菜などの野菜も頂いています。今年は特に多く寄付を頂きましたが、保管できる場所が狭いため、せっかくの皆さんの善意をお受けできないこともありました。それでも寄付の餌が届くたびに、本当に多くの人に旭山動物園が支えられていることを実感します。(ほっきょくぐま館・飼料担当 大内章広)
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