広野組の寄付により今春新設されたエゾタヌキの放飼場
春は変化の季節ですが、今年は改元もあり、特別な春となりました。令和元年の旭山動物園、今年の変化を三つ紹介させていただきます。 変化その1。正門前のととりの森にはカモや白鳥などの水鳥たちが暮らしていますが、ここについにフラミンゴたちが帰ってきました。2年ぶりの登場です。 今回の改修では放飼場をネットで囲みました。そして、これにより夏季営業中は基本的に夜の寝室への収容が必要なくなりました。これで期待できるのが野外での繁殖です。 毎日収容が必要だった時は、野外での繁殖は難しかったのです。うまくいくかは未知数ですが、一緒に観察していただけたらと思います。施設の中にはベンチもありますのでゆっくり観察できますよ。 変化その2。「ニワトリ・アヒル舎」です。旭山では数年前からニワトリやアヒルを園内のこども牧場で展示していましたが、近年は国内での高病原性鳥インフルエンザの発生もあり、展示と防疫対策を両立できる飼育舎として新設しました。 じっくり家禽(かきん)を観察でき、感染対策もできる良い施設。来園された際は、家畜と人の関係について考えるきっかけにもしてほしいと思っています。 変化その3。東門から園内に降りてくるゆっくりロードです。 ここには猛禽(もうきん)ケージやリスのケージがありましたが、新たにエゾタヌキの放飼場とテン舎を新設しました。テンはエゾクロテンとホンドテンの比較展示を行っていますが、繁殖も目指した施設です。 タヌキの放飼場は旭川市内の建設会社広野組の創業100周年記念事業として寄付していただいたものです。旭山らしい傾斜を利用した放飼場や木の洞で作った巣など、タヌキのちゃめっ気あふれる姿が観察できる施設となっています。 また、飼育員が作った看板もちょこちょこ変化していますので、動物観察のお供にぜひ楽しんでください。(獣医師 副園長・池谷優子)
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