【写真説明】羽ばたいて止まり木に飛び乗るニワトリ(打田達也撮影)
今季登場の新施設「ニワトリ・アヒル舎」。ウサギやモルモットなどが暮らす「こども牧場」から引っ越したニワトリは首を伸ばして元気に鳴き、アヒルは水しぶきを上げてプールで水浴びする。それぞれ「新居」を満喫している様子だ。 新施設は幅10・4メートル、奥行き2・7メートル、高さ3・5メートル。家禽(かきん)として世界中で飼育される身近な動物の意外な能力や習性を引き出すため、さまざまな工夫を凝らした。 雌雄9羽が暮らすニワトリの飼育スペースには、多様な高さの止まり木を整備した。「飛べない鳥」のニワトリが羽ばたいて木の上を飛び移り、高さ1メートルほどの枝の上で休む。足をたたんで丸くなり、うとうとする姿はのどかで愛らしい。飼育担当の佐賀真一さん(39)は「土の上にいる姿を想像しがちですが、ニワトリはキジ科。夜は止まり木の上で一列に並んで眠っていますよ」とほほ笑む。 アヒルのスペースには幅約130センチ、奥行き約80センチ、深さ約40センチのプールを設置。水槽の側面から水中の足の動きを観察できる。暮らすのは雌雄各1羽のほか、来園したばかりの生後1カ月ほどのひな5羽。黄色いふわふわの羽が特徴で、大人の白い羽に生え替わるまで数カ月ほどかかるが、水鳥らしく水に潜って遊んでいることもあるという。 ニワトリとアヒルの新居を作り「こども牧場」から独立させた取り組みは、旭山が2018年度から本格的に掲げるテーマ「食育」の意味も込めた。旭山では18年度から家畜のブタを2匹飼育。現在は飼育場の改修を検討中で一般公開していないが、園内には手づくりの「いただきますパネル」を設置し、もも肉やヒレ肉などの豚の食肉としての部位も解説、「命を食べる」意味を来園者に考えてもらっている。 ニワトリ・アヒル舎にも看板を作り、鶏肉や卵を食べたり、アヒルの羽を羽毛布団やダウンジャケットに利用していることを紹介する。佐賀さんは「肉や羽など、人は生きている動物から多くの恵みを得て生活していることを知ってほしい」と、新施設の狙いを語った。(宗万育美)
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