北海道新聞旭川支社
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旭山動物園わくわく日記

 ホッキョクギツネ*冬毛 氷点下80度に耐える    2019/02/25
もこもこの冬毛と短い耳が特徴のホッキョクギツネ(大島拓人撮影)

 雪景色に紛れて丸くなり、気持ちよさそうに寝息を立てるホッキョクギツネ。日本動物園水族館協会加盟施設で飼育されているのは現在、旭山の6歳の雄1匹のみだ。

 体長約55センチ、体重約5キロ。北米やロシアなど北極圏の海岸地帯に生息し、夏毛は暗褐色でほっそりしている。冬毛は白くもこもこで、ずんぐりした姿から来園者に「タヌキかな」と間違われることもあるという。

 暖かい冬毛は厳寒をものともしない。氷点下70度でやっと震え始め、同80度にも耐えられる。「旭川の寒さは全然平気。氷点下20度でも、すやすや寝ています」と飼育担当の中村亮平さん(37)は笑う。足の裏にも肉球が隠れるほど毛が生えていて、防寒と滑り止めに役立っている。

 旭山のホッキョクギツネは2002年7月にカナダから雌雄が来園したが、12年5月までに2匹とも死んだ。その後、12年11月にドイツの動物園生まれの雌雄2匹が新たにやって来たものの雌が14年に死に、今いる雄だけが元気に過ごす。

 実は冬毛の色は、白色型と青色型の2種類ある。現在の雄は青色型で、よく見ると灰色がかっている。12年までいた雌雄は白色型で冬は真っ白になり、雪景色により溶け込んでいた。

 園内にはキタキツネもいるが、見比べるとホッキョクギツネは耳や鼻が短く、顔立ちは愛嬌(あいきょう)たっぷり。体温を保つために体の表面積も小さく、脚も短い。

 えさを隠したりネズミ類を捕まえるため、穴掘りが得意。暑さが苦手で、夏は穴に隠れてしまうことも。「埋め直しても穴だらけにされるので、いたちごっこです」と中村さん。夜間に活発に動き、昼間は眠っていることが多い。性格は物おじせず、来園者を恐れることもなく、ガラス越しに積極的に寄ってくる。

 同じ北極圏に暮らすホッキョクグマやシロフクロウが隣の獣舎で暮らし、冬こそ生き生きと輝く動物たちが集まる。中村さんは「クマもフクロウもキツネも、極寒の厳しい環境に適応するため、例えば小さな耳など似たような特徴を持っている。探してみると面白いですよ」と言った。(宗万育美)


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