北海道新聞旭川支社
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旭山動物園わくわく日記

 ホンドテン*身軽に駆け回るハンター    2018/11/26
10月から北海道産動物舎で公開されたホンドテン(打田達也撮影)

 道南地方で保護され、園内のバックヤードで飼育されていたホンドテンが10月上旬、北海道産動物舎の仲間に加わった。身軽に木の幹に飛び乗ったり、ちょこまかと獣舎を走り回る姿はどこかユーモラスだ。

 体長約50センチ、体重1・5キロ。イタチの仲間で、体毛は褐色、冬は明るい黄色になる。長い尻尾はふさふさだ。くりくりした黒い目を持ち、黒色の足には鋭い爪がある。木登りが得意で、野生ではネズミやウサギなど、自分より体の大きな動物も捕食するハンターだ。

 飼育担当の佐藤和加子さん(37)は「動きがすばやく怒らせると怖い。細い金網は噛みちぎってしまいます」と野性的な姿を語る。園内で飼育するのは雄2匹。正確な記録はないが約4年前に同じ場所で保護され、兄弟とみられる。

 公開されたのはこのうちの1匹で、一時期、体調を崩した1匹は今もバックヤード。離れて飼育することで、餌の食べ方や行動を綿密に観察し、体調管理につなげる狙いという。

 ただ仲の良い2匹に一緒に暮らしてもらうため、来春には東門へ向かう坂「ゆっくりロード」に建築中の小獣舎にそろって「引っ越し」させることも検討中だ。

 もともと本州や四国、九州に生息しており北海道では外来種。戦後、毛皮を利用するため道内に持ち込まれ道南や道央で野生化した。一方、道内の在来種エゾクロテンは、毛皮目当ての乱獲やホンドテンの生息域の拡大などで生息数が激減し、環境省のレッドリストで準絶滅危惧種に指定されている。

 北海道産動物舎ではホンドテンの隣の獣舎にエゾクロテンの雄1匹が暮らす。落ち葉に埋もれて丸くなり、すやすやと眠る姿はよく似ているが、体がやや小さく、毛色が暗いのがエゾクロテンだ。

 旭山では冬期間の野生の姿を見せようと、獣舎内にあえて雪を入れようと考えている。バックヤードで飼育中にも雪を入れたことがあり「雪にずりずり体をこすりつけ楽しそうだった」と佐藤さん。雪の上でどんな動きをするのか。そんな観察も動物園の楽しみ方の一つだ。(宗万育美)


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