ふわふわの冬毛になったエゾリス。冬に備えてせっせと食べ物を集めている(舘山国敏撮影)
北海道産動物舎のエゾリスがちょこまかと走り回り、厳しい冬に備え一生懸命食べ物を集めている。
道内全域の森林に生息。木の多い大きな公園にもすみ着く身近なリスだ。成獣の体長は約25センチで、長さ20センチほどの大きな尻尾が特徴。飼育担当の佐藤和加子さん(37)は「木の上で走るときは尻尾でバランスを取るんです」と話す。 体毛は茶色で胸から腹にかけては白い。冬は、ふかふかした茶灰色の毛に換わり、小さな耳には寒さをしのぐ長い「房毛(ふさげ)」が生える。佐藤さんは「今の時期はふさふさした暖かそうな尻尾がかわいいけど、夏は毛がすかすか。貧相だなと思ってしまいます」と笑う。 旭山でのエゾリス飼育には有名なエピソードがある。1990年代、エサ不足やカラスの襲撃などでエゾリスが絶滅寸前になった旭川市内の神楽岡公園に、旭山で生まれた子たちを「里帰り」させる活動を展開。91~98年に24匹が放され、同公園のエゾリス復活の一翼を担った。 現在、旭山で飼育しているのは雄2匹と雌4匹。同動物舎では7月に円山動物園(札幌)から来園した雌2匹と2016年に市内で保護された雄1匹が暮らす。ほかに東門へ向かう坂「ゆっくりロード」の小動物舎に雄1匹、バックヤードにおびひろ動物園から9月にやって来た雌2匹がいる。雌の来園で来春の繁殖への期待も膨らんでいる。 小型のエゾシマリスと違って、エゾリスは冬眠しない。秋はえさを蓄えるのに大忙しだ。頬袋がないので、松の実なら2、3個、クルミなら1個、口に入るだけの木の実をくわえて何度もえさを運ぶ。同居するエゾユキウサギのサツマイモを巣箱に運び込んだり、するどいかぎ爪のついた手で木の実を土の中に隠したり。その木の実が芽吹くこともあり、今年はカボチャの種が五つほど発芽。花が咲いたものもあった。 エゾリスは朝の活動時間が早く、午後は巣箱で寝ていることが多い。真冬には早朝しか活動しなくなり「私でも会えなくなるんです」と佐藤さん。冬毛のエゾリスを見るのは、えさをため込むために動き回る今がチャンスだ。(宗万育美)
|