ふらりと屋外展示場に現れたマヌルネコのグルーシャ(大島拓人撮影)
ふわふわした体毛に、耳が顔の横についた独特な姿が早速、来園者の人気を集めている「マヌルネコ」。7月19日、埼玉県こども動物自然公園からやって来た旭山の新しい仲間だ。 体長約50センチ、体重約4キロの1歳の雄。名前は「グルーシャ」。マヌルネコはモンゴル語で「小さなヤマネコ」を意味し、その由来の通り小型の猫だ。本来はモンゴルや中国、イランなどの高地に生息する。 背中や尻尾にしま模様、目は緑がかった黄色で、顔の高い位置にある。「独特の顔は、岩や草の陰から目だけを出して獲物に忍び寄るためですね」と担当飼育員の中村亮平さん(36)が教えてくれた。 国内では現在、グルーシャを含めて14匹が6カ所の動物園で飼育され、道内は旭山が初めて。グルーシャは来園直後、とにかく周囲を警戒していた。餌を置いても人前では食べないのに、朝にはきれいになくなった。「夜に食べていたんですね」と中村さん。動きも実に用心深く、体を低くして、さながら「だるまさんが転んだ」の動きで、少し歩いては止まるを繰り返したという。 ただ、徐々に環境にもなじみ、今では飼育員の目の前で餌を食べ、小獣舎の高い場所に登っては、のんびり毛づくろいをするなどリラックスした様子も見せる。好奇心をのぞかせて隣のレッサーパンダ舎のつり橋を見つめるなど、新しい環境を満喫しているようだ。 マヌルネコは暑さに弱い。このため、夏の間は暑さをしのぐため涼しい寝室にいることも多く、屋外展示場で来園者が会えるかどうかは運次第。一方で寒さに強く、冬には分厚い毛に変わる。「雪の中でどういう動きをしてくれるのか楽しみです」と中村さんは言った。 旭山にいるネコ科の動物は、ライオン、アムールトラ、アムールヒョウ、ユキヒョウと大型の4種類の猛獣。さらにこども牧場に家猫がいる。マヌルネコはいまグルーシャ1匹だけだ。現在予定はないが将来は繁殖を目指して雌が来園する可能性もあるという。中村さんは「猛獣や家猫と違う、小型の野生のネコを知るきっかけにしてほしい」と話した。(宗万育美)
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