北海道新聞旭川支社
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旭山動物園わくわく日記

 チンパンジーの餌やり*なるべく均等 気を使う    2018/07/02
園内で元気に暮らすキーボ(左)らチンパンジーたち

 ここ毎日、じめじめした日が続く旭川市内。ギラギラした暑い夏は来るのでしょうか。私が担当しているチンパンジーたち、雨の日はというと外に出ないことはありませんが、雨の当たらないところでジーっとしていることが多くなります。

 晴れている日は夕方、室内へ入る時間ギリギリまで遊んでいるのですが、天気が悪いと30分前から窓に張り付き「まだ入れないの~」と恨めしそうな目で私を見ます。雨は苦手みたいです。冬は外に出せないので、今の時期はできるだけ日光浴をさせてあげたいのですが、天気だけはどうしようもないですね。

 チンパンジーは群れで暮らす動物で、その飼育管理はなかなか気を使います。まずは餌。なるべく均等に与えたいので朝ごはんは適当な大きさに野菜・果物を刻んで広範囲にまき散らします。ですが群れの中には順位があり、強いものがおいしいものをより多く取ってしまいます。なので午後の餌は屋上からあまり食べられていない順位の低いチンパンジーに投げ与えるようにしています。

 みんなわれ先に欲しいので、できるだけ私に近づき「ちょうだいアピール」をします。私に向かって手を伸ばす者や、手をたたいておねだりする者、それぞれ個性的で一生懸命です。が、一番多く餌をゲットしているのは何のアピールもせず、みんなが取りこぼした餌を地上で黙々とかき集めている者です。どこの世界にも要領のいいのがいるものです。午後の餌は不定期ですが午後1時すぎに与えています。スカイブリッジ(透明なトンネル)で見ていただくとおもしろいですよ。

 8月で50歳になる長老のキーボ。気づけば旭山一の古株になりました。彼の目に今の旭山はどう映っているのでしょうか。晴れた日はあおむけに寝そべり、両手を頭の後ろに回し足を組んで日なたぼっこ。まるで休日のお父さんです。大きなあくびをしたかと思えばうつらうつらとお昼寝タイム。そんなキーボの平和な姿をぜひ見に来てください。明日は晴れるかな?(チンパンジー担当 副園長 中田真一)


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