北海道新聞旭川支社
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旭山動物園わくわく日記

 オランウータンの子育て*6~9年かけて1頭ずつ    2018/03/26

オランウータンのリアン(左奥)とモカの親子=旭山動物園提供

 オランウータンのモカが2月5日で3歳になりました。私が担当になった時、モカは生後2カ月で、小さな身体でいつも母親のリアンのおなかに隠れるようにしがみついていました。

 そのモカも今では大きな遊具を揺すって遊んでみたり、私の身体や服を力いっぱい引っ張ったりと随分とおてんばに育ちました。

 オランウータンは子どもを1頭ずつ育てる動物で、子の親離れが近づいてから次の子どもをつくります。1頭に費やす子育て期間は6~9年。動物の中ではヒトの次に長く時間をかけます。そのため生涯に産む子どもの数は他のサルに比べると少ないという特徴があります。ちなみに父親は一切子育てに参加しません。

 オランウータンは2歳を過ぎると授乳時間が一日のうちの1~2%くらいまで減少し、3歳を過ぎるとほとんど母乳を飲まなくなると言われています。モカも1歳を過ぎた頃からリアンと同じ野菜類を少しずつ食べ始め、授乳頻度が減ってきました。

 食べ始めの頃はリアンが残した野菜ぐらいしか食べることを許されず、バナナやオレンジなどのおいしい果物を食べようとするとリアンに横取りされていましたが、徐々に好きな果物をある程度食べられるようになりました。

 最近では「これはモカのものだからね」とリアンに言い聞かせると、優先してモカにおいしい果物を手渡しで与えられるようになりました。これはとても大きなことで、例えばモカだけに薬を飲ませたいときに果物に薬を塗って投与できるようになったわけです。

 モカに果物をあげている間、リアンは顔を近づけてうらやましそうに見てはいますが、そこはじっと我慢しています。リアンもモカに必要なのはもう母乳ではないことを理解しているのだと思います。

 現在、わが家も子育て中で4歳と1歳半の2人の娘がおり、乳児を卒業したモカと同世代です。私は職場ではモカとふれあい、家に帰れば娘たちの育児に参加しています。ヒトとオランウータンの遺伝子の差はわずか4%。とてもよく似ています。子の成長を見比べることが最近の楽しみの一つです。(オランウータン担当 佐橋智弘)


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