北海道新聞旭川支社
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旭山動物園わくわく日記

 キリンの同居*赤ちゃん誕生に期待   2018/01/29
ほどよい距離感で同居するアミメキリンのゲンキ(手前)と結(奥)

 きりん舎にいるアミメキリンのゲンキ(雄、10歳)と結(ゆい)(雌、4歳)。ケガによる別居などを乗り越え、2017年9月ごろから繁殖を目指して同居中だ。飼育担当の丸一喜さん(46)は「結が妊娠している可能性もないとはいえない」と話し、旭山では1996年以来のキリンの赤ちゃん誕生に期待が膨らんでいる。

 ゲンキは08年に山口県から、結は15年にアメリカからそれぞれ来園。ゲンキは結が大好きで、いつも追いかけ回していた。ただ自分より背丈の低い結に合わせて、首を低く下げて追いかけたため、ある時、負担がかかった前脚を痛めてしまった。16年の1月から別居。当時飼育担当だった中田真一副園長(50)は「結が迷惑がるほどでした」とゲンキの様子を振り返る。

 1年半の「冷却期間」を経て17年7月中旬、結に発情の兆候が見られたため、試験的に同じ飼育場に入れた。交尾の成功は確認できていないが、ゲンキはその後、以前のように結に執着する姿が少なくなった。同9月に本格的な同居を再開。2頭はほどよい距離をとっている。丸さんは「追いかけるのに飽きたのか、それとも妊娠しているのかわからないが、妊娠に期待しています」と笑顔で話す。

 アミメキリンは主にアフリカのサバンナに生息。動物園での飼育例は多いが、世界的には生息数が減少し、16年12月には国際自然保護連合(IUCN)がキリン属全体を絶滅危惧種に指定した。

 キリンの妊娠期間は長く、450~470日。結が妊娠しているとすれば、この春ごろには体形が変化し始め、10月ごろには出産の可能性が高まる。ゲンキは以前、別の雌とつがいになっていたがこの時は繁殖に成功していない。

 現在2頭は飼育場で時々、目を合わせたり、エサを取りあったり仲良く暮らす。キリンは家族で子育てするため、好奇心旺盛なゲンキと、温厚な結、そして赤ちゃんの仲むつまじい姿を見られる日が来るかもしれない。(川上舞)


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