北海道新聞旭川支社
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旭山動物園わくわく日記

 ホッキョクグマ*繁殖成功 今年こそ期待    2017/05/29
少しずつ仲良くなり、繁殖が期待されるイワン(左)とピリカ

 旭山動物園は1974年に国内で初めてホッキョクグマの繁殖に成功しましたが、その後長い間、繁殖から遠ざかってしまっています。また日本国内を見ても、ホッキョクグマの繁殖が順調に進んでいるとは言えない状況が続いています。難しい要因としては、繁殖生態にまだ不明な点が多いことや飼育下に適齢個体が少ないことなどがあります。

 現在、旭山動物園ではイワン(雄、16歳)、サツキ(雌、25歳)、ルル(雌、22歳)、ピリカ(雌、11歳)の4頭を飼育しています。雄のイワンが来園してからこれまでルルとサツキとの間で繁殖を何度も試みてきましたが、交尾は確認できるものの、雌が妊娠することはありませんでした。原因を探るために、ホルモン値の測定、雄の精子の検査、ホルモン剤の投与などを実施してきましたが、これらの努力も実を結ぶことなく、残酷にも時間だけが過ぎ、ルルとサツキは妊娠・出産がかなり厳しい年齢になってしまいました。

 もう1頭の雌ピリカはというと、イワンとの相性があまり良くなかったことと、血統的にルルとサツキに比べ優先順位が低かったため、イワンとのペアリングは積極的に行ってきませんでした。しかし、若いピリカにはまだまだ可能性は十分あり、イワンに残された時間にも限りがあるため、昨年からはイワンとピリカのペアリングを最優先として取り組んできました。

 同居を開始した当初はイワンを怖がり、放飼場の隅っこで一日中動けなくなっていたピリカですが、現在では他の雌と変わらない様子でイワンと同居ができるようになり、昨年には一度だけですが初めて交尾も確認できました。今年も3月に確認されています。また、ルルも今年がおそらく最後になるかと思いますがイワンと交尾をしました。

 ホッキョクグマを担当して3年目の今年。1年目には畑を耕し、2年目には種をまきとこつこつとやってきたはずなので、今年こそは、と願うばかりです。
(ホッキョクグマ担当 大内章広)


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