北海道新聞旭川支社
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旭山動物園わくわく日記

シマフクロウ*国内140羽足らず ふ化へ期待    2017/03/20
シマフクロウの(左から)ロロ(雄)とモコ(雌)。4月の卵のふ化が待ち遠しい

 2012年からシマフクロウを飼育しています。日本では北海道にしか生息しておらず、その生息数も140羽足らずと、明治初期の約千羽に比べると激減。実際、北海道に住んでいる人もほとんど見たことはないでしょう。本州から来た人は日本にこんな大きなフクロウが生息していることを知らず、その姿に驚くことも多いです。動物園で、北海道そして日本の動物のことをもっともっと知ってほしいと思っています。

 さて旭山のシマフクロウですが、雄のロロ(19歳)と雌のモコ(5歳)がいます。2羽は昨年の3月に釧路市動物園から繁殖のためにやってきました。旭山に来る5カ月前に同居したばかりで、当時はペアとしての行動も観察されておらず、大丈夫かなと心配しながらの移動でした。

 旭山に移動後、翌年の繁殖を期待しつつ飼育が始まりました。モコは人に対して警戒心が強く、シマフクロウ舎の奥にいつもとまっていましたが、ロロはお客さん側にいて、2羽の距離が近づいている様子はなかなかありませんでした。

 10月ごろ、鳴きかわしが頻繁に見られ始め、距離が心なしか近くなってきて、うまくペア形成できたかもと思い始めました。

 シマフクロウの繁殖は、12月までにペアになり、その後、巣を整え、交尾をして、3月ごろに産卵というスケジュールです。それに沿って巣材を用意し、巣内にカメラを設置して繁殖に備えました。この作業時、雌は巣を守ろうと襲ってくることもあり、これは期待できるかなと内心楽しみになってきていました。

 今年1月、シマフクロウ舎の裏側、巣に近い付近の人の通行を禁止し見守っていたところ、2月中旬から交尾、2月28日に産卵が確認されました。現在モコは1日10分程度、巣から離れるだけでずっと卵を抱いています。抱いている卵が有精卵だった場合は4月5日前後にふ化する予定です。

 北海道の森では今まさにフクロウたちが繁殖行動に動いています。そんな北海道の春を、まだちょっと寒いですが動物園のシマフクロウを観察しつつ感じてもらえればと思っています。(獣医師・フクロウ担当 池谷優子)


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