エゾヒグマの様子を見る参加者たち=昨年6月(旭川市旭山動物園提供)
旭山動物園では毎年6月下旬、「障がい者夜間特別開園」を行っています。心身に障害があり、通常開園時に十分に見学できないことが多い方を対象に、「動物園をゆっくり楽しんでいただきたい」という思いから始まった企画です。 時間は通常開園終了後の午後5時30分~7時。見学エリアは限定されますが、初夏の夕暮れの中、一つ一つの施設をじっくり見学していただき、動物たちの魅力を全身で感じていただければと思っています。 毎年このイベントを楽しみにしている方がたくさんいらっしゃいます。参加した子どもたちを見ていると、マリンウェイ(水槽)を通るアザラシに歓声を上げたり、目の前を優雅に泳ぐホッキョクグマを見て目を見開いて後ずさりしたり、オオカミの遠ぼえに合わせて叫んだりしています。とても楽しそうです。 中でも、ウサギやモルモットに触ることができる「ふれあいコーナー」では、子どもたちは最初、不安げな顔で恐る恐る手を伸ばしますが、触った瞬間、満面の笑みを浮かべ、少し照れくさそうにはにかんだ表情がとても印象的です。それを見ている保護者も同じ表情でほほ笑んでいます。「おじさーん、また今年も来たよー」と手を振ってやってくる常連の子もいます。 私はこのイベントが動物園の企画の中で一番好きな行事です。なぜなら、サービスを提供しているのはこちら側かもしれませんが、実は、たくさんの笑顔と、あったかい気持ちをもらっているのは私たちの方だと感じるからです。その笑顔は、障がいがある子も、ない子も全く変わりません。子どもたちの純粋な笑顔には、不思議な力があふれています。また輝く笑顔に会えると思うと、今からワクワクします。
今年の開催は6月25日の土曜日です。事前の申し込みが必要ですので、詳しくは旭山動物園の公式ホームページをご覧ください。皆さんのとびきりの笑顔、お待ちしています。晴れるといいなあ。
(飼育担当主査・中田真一) |