大型連休初日の29日に夏の営業を始める旭山動物園。現在は21日間の休園期間中だが、職員たちは多忙な毎日を送っている。開園中はなかなかできない施設の大清掃や補修から、看板のリニューアルまで、さまざまな作業に追われているためだ。 「休園期間中は暇だろうって思われますが、実はかなり忙しくて、休みはありませんよ」。飼育主査の中田真一さん(48)は苦笑いする。園内では、通常は担当の動物を世話している15人ほどの職員が総出で作業を行っている。中田さんはその段取りを決め、指揮を執る。 日中の気温が5度にも満たず、時折強い風が吹き付けた18日。「さる山」「エゾシカの森」に木製のチップを敷く作業のほか、「ちんぱんじー館」の修繕も行われた。 さる山にチップを敷く目的は主に二つある。「遊び」と「臭い取り」。チップの上に穀物や種などをまくと、ニホンザルたちがエサ探しに夢中に。毎日2回ほどエサを与えると、退屈しのぎになるという。60匹以上に上るサルの便や尿の悪臭を軽くする効果もある。 作業はまず、ホースで水をまき、全てのサルを寝室へ追い込む。職員は、金網に角材を取り付けた担架のような道具に、スコップを使ってチップを乗せ、次々とさる山に運ぶ。作業は約1時間で終わり、寝室の扉が開けられると、サルたちは早速、新しいチップの山に登ったり、物珍しそうに眺めたりしていた。 6頭がいるエゾシカの森では、シカが作業を行う職員たちに戸惑いながら、臭い取り用のチップをついばんだりしていた。施設2カ所で使ったチップは10トントラックでおよそ3台分にもなった。 この日の作業は予定より早く終わったため、職員たちは、ちんぱんじー館へ。チンパンジーのために用意していた砂場を工具を使って撤去するなどした。 開園まであと数日。職員たちは、全国や海外から訪れる来場者の笑顔を思い浮かべながら、動物のより良い環境づくりに向け、作業に汗を流す。(笠原悠里) |