北海道新聞旭川支社
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旭山動物園わくわく日記

キリンのカップル*春には同居を再開    2016/02/22
雪が降る中、一緒に歩くアミメキリンの「ゲンキ」(左)と「結」=旭川市旭山動物園提供

 昨年10月、米国から来たメスのアミメキリン。愛称は「結(ゆい)」に決まり、旭山動物園の一員になりました。オスの「ゲンキ」との同居も順調に進みました。ゲンキは常に結の後ろをついて歩き、「しつこいわっ」と言いたくなるほど。12月、放飼(ほうし)場に雪が降り積もり、結にとっては初めての旭川の冬を迎えました。雪の中、結が走ればゲンキも走る、結が止まればゲンキも慌てて止まる。見てるこっちはヒヤヒヤです。なぜなら、キリンが足を痛めてしまうことは致命傷になってしまうからです。

 今年1月中旬のこと。いつものように結を先に寝室に入れ、「普段なら結が入った後すぐに入ってくるのに…」と思っていると、ちょっと遅れてゲンキが入室。「あらっ、何か歩き方がぎこちない」と感じ、獣医さんに診てもらうと、どうやら足を痛めてしまったようでした。

 翌日から展示を中止し、鎮痛剤を餌に混ぜ、投薬しましたが、2日たっても効果がなく、食欲も低下し、全部残す日もありました。痛いのは左前足のよう。床に足を付けたがらず、浮かせてブラブラしています。4日目にはほとんど座っている状態になりました。立てなくなり、首を倒すようになると、食べた物がのどに詰まってしまいます。最悪の結末を覚悟してしまいそうなほど悪い状態でした。経口薬の効果は期待できないほどでしたので、強めの鎮痛剤の注射をお尻付近に刺しました。少しバタつきましたが、無事投薬は完了。

 翌日午後、昨日までがうそのようにゲンキは寝室内を力強く歩き始めました。食欲も徐々に戻り、元気なゲンキに戻りました。

 現在2頭はゲートで仕切り、外に出しています。除雪は平らに踏み固めるのではなく、ひづめが沈むくらいの量を残し、乾草を敷き滑りづらい状態をつくることに努めています。地面の状態が良くなれば、結との同居も再開しますが、今は動物の健康を優先したいと思っています。ご了承ください。「あ~あ、早く春にならんかなあ~」

(飼育担当主査・キリン担当 中田真一)


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