高さ3メートルの場所に設置された餌場で、のんびり乾草を食べるヤギ
2006年にオープンした「第2こども牧場」。隣接するこども牧場(1997年開設)とともに、園内で動物に直接触れることができる施設で、親子連れらに絶大な人気を誇る。 気温が下がり、雪に覆われた12月になっても、牧場内の動物たちは元気いっぱい。屋外では、ヤギ7匹、ヒツジ4匹、26歳と高齢のポニーの雄「ミクロ」などが暮らす。屋内の展示施設も、こども牧場から、冬季限定で引っ越したアヒル、コールダックなどの鳴き声でにぎやかだ。 第2こども牧場担当の佐賀真一さん(35)は「動物たちの温かさや毛質を肌で感じてほしい」と話す。道教大旭川校の学生時代には、動物の進化や行動をテーマに研究を行い、旭山に何度も足を運び、動物を観察していた。「動物を通じて、命の温かさや環境問題などを伝えたい」という思いは当時と変わらない。牧場内のヤギの足など園内で展示する骨格標本のほとんどは佐賀さんの手作りで、動物の魅力を来園者に伝えることに力を注ぐ。 牧場の目玉は、約3メートルの高さに設置されたヤギの餌場。人間ははらはらする高さだが、ヤギは悠々と歩き、乾草などを食べる。餌場の下には、ヒツジの柵があり、内部は丘陵地を思わせるような造りになっている。「ヤギは人間に飼育され、平地のイメージが強いが、実は傾斜地が得意。平地を駆け回るのはヒツジで、牧場はヤギとヒツジの違いが見比べられるようになっている」という。 動物の案内パネルも園内の他の施設と違いがある。単に動物の習性を紹介するだけでなく、人間の生活にいかに役立っているかも記している。「ここの動物はすべて家畜であり、人間と関わりを持つ動物です。よく知られた動物たちの意外な一面を発掘できるのが牧場の魅力の一つ」。佐賀さんは強調する。 動物の行動を観察し、鳴き声を聞き、肌で触れることができる牧場。佐賀さんは「こども牧場という名前ですが、大人も学ぶことが多い施設になっています」と幅広い年代の来場を呼び掛けている。(古谷育世)
|