北海道新聞旭川支社
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旭山動物園わくわく日記

アライグマ*前足で器用にえさ探し    2015/11/16
木に登り、来園者に愛くるしい表情を振りまくアライグマ

 11日から冬の営業が始まった旭山動物園。翌12日、北海道産動物舎では、雌のアライグマ(10歳)がうっすらと積もった雪の中を駆け回っていた。

 園内のアライグマは3匹で、雄と別の雌(いずれも推定10歳)のペアは小獣舎にいる。道産動物舎では、アライグマの隣の放飼(ほうし)場にそっくりなエゾタヌキを展示。放飼場は左右対称で、見比べることができる。動物舎担当の佐藤和加子さん(34)は「眉間の黒い線や尾のしま模様など容姿だけでなく、器用に手を使ってえさをとる姿や木を登る様子に注目してほしい」と話す。

 アライグマの前足は人間のように長い指が5本ある。タライや池の中に前足を入れると、まるで洗っているように見えるが、実は、前足を使って水中にえさがないか探っているだけだという。スイカに穴を開け、前足を突っ込んで食べたり、池に放された生きたフナを捕ったりする。浮き玉に手を入れ、中のえさをつかんで食べる様子を見ることもできる。

 もともと外来種のアライグマが人気者になったきっかけは、1977年放送のテレビアニメ「あらいぐまラスカル」。全国でペットとして飼育するケースが増加した。しかし、愛らしい見た目とは異なり、どう猛だ。もてあました飼い主によって捨てられたり逃げ出したものが野生化し、農作物被害は全国的に深刻化している。旭川市内でもトウモロコシやメロンなどの被害が発生、昨年度の農業被害額は17万円で、42頭が捕獲された。

 園内のアライグマは穏やかな性格というが、佐藤さんは「ペットではないので、野生の心は忘れていない。触られるのを嫌がるので、放飼場に入るときは細心の注意を払います」と表情を引き締める。

 寒さに強く、木登りも得意。器用にえさも取れ、野生でもたくましく生きる。「ペットには不向きなアライグマを勝手に輸入しながら、迷惑だといって駆除するのはかわいそう。責任は人間にあると思う」。来園者へのガイドも行う佐藤さんはこう呼び掛けている。(古谷育世)


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