北海道新聞旭川支社
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旭山動物園わくわく日記

アムールヒョウ*ペアリングへ環境づくり    2015/05/11
来園者の視線も気にせず、りりしい表情をみせるアムールヒョウのキン

 今年(2015年)3月、旭山動物園にアムールヒョウのルナ(雌2歳)が仲間入りし、個体数が3頭に増えた。ロシアの動物園育ちで、まだ環境になじめないルナに対し、キンやアテネ(いずれも雄11歳)が人前で堂々と振る舞う姿が対照的だ。今後、ルナの登場により、待望の繁殖が期待されている。

 アムールヒョウはネコ科で、ロシア南東部の森林地帯に生息する。オレンジと黒のまだらの毛並みだが、腹部は白く、優れた敏捷(びんしょう)性が特徴。密猟や環境破壊で個体数が減り、自然界の個体は一時30頭を下回ったが、現在は約50頭まで回復したと推測されている。

 もうじゅう館の一角にある展示室には、ナナカマドなど樹木や岩場を配置し、自然界に近い形を再現。自然界では競合するアムールトラを避けるため木登りもできるという。木の表面には爪研ぎで深く削れた痕が残っており、どう猛な一面もうかがわせる。

 キンやアテネは今年で来園10年。オリ越し1メートルの人前でもうたた寝するほど施設に慣れているが、ルナは物陰に隠れ、人への警戒心が強い。飼育員の大西敏文さん(41)は「近づくと威嚇して飛びつき、人を追い払おうとする。少しずつ慣れてくるだろう」と話す。

 ただ、悠長にしてはいられない事情もある。アムールヒョウは寿命が15歳程度といわれ、11歳のキンとアテネは決して若くはない。繁殖には問題はないとみられているものの、一抹の不安も残る。旭山動物園は日本で最初にアムールヒョウを飼育、繁殖にも成功させており、2002年以来の繁殖に期待が高まっている。

 大西さんは「キンとアテネのことを考えると、長い時間、間を置くこともできない。ルナが環境になれるのを待って、今年か来年にもペアリングを考えていきたい」と話す。(東久保逸夫)


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