天井からつるされた「ヘビトンネル」。筒状の網の中をアオダイショウが動く様子をつぶさに見られる
園内では、ペンギンやレッサーパンダなど愛らしい動物が人気を集めているが、ちょっと苦手な人が多いカエルやヘビも観察してみると、面白い。「両生類・は虫類舎」では、道内に生息するカエルやヘビなど約10種類を展示。中でも、春が近づく中、冬眠中のカエルやヘビを間近に見られるコーナーは見逃せない。 「そ~っと観察してね」。ガラスケースのある展示コーナーの一角に注意書きの文字が並ぶ。ケースを覆うカバーや布を静かにめくると、アズマヒキガエルとアオダイショウが姿を現す。いずれも土の中におり、目を閉じていて全く動かない。自然界での冬眠は10月~5月ごろだが、施設ではケースに外気を取り入れ、11月~3月にかけて意図的に冬眠状態を作っている。 冬場、気温が下がると、カエルやヘビは一斉に冬眠状態に入る。生き残るために、エネルギー消費を抑える知恵だ。担当の白木雪乃さん(34)は「本当は冬眠したくないかもしれないし、しなくてもいい。冬眠したまま死んでしまうリスクも抱える中、必死に生きようとする彼らの姿を見てほしい」と訴える。 一方、施設の天井には、筒状の網で作った「ヘビトンネル」がつるされている。トンネルの中では、アオダイショウが、もぞもぞと動き、下から様子をつぶさに観察できる。斬新な展示方法に、来場者は驚いたり、興味深そうにながめたりと、反応はさまざま。 嫌われがちなヘビだが、フクロウやキツネ、タカなどの主食ともなっており、食物連鎖のピラミッドを支える重要な役割を果たしているという。白木さんは「生物界では、かわいいものだけを守り、好きじゃないものは排除する考え方だけでは成り立たない。どちらも欠けてはならない大切な存在だということを伝えたい」と話している。(東久保逸夫) |