北海道新聞旭川支社
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旭山動物園わくわく日記

アムールトラ*新入り なだめるのに苦心     2015/03/02
アメリカの動物園から来たアムールトラ「キリル」

 昨年9月、アメリカから2頭のアムールトラがやってきました。

 名前はキリル(雄、5歳)とザリア(雌、4歳)。キリルはホーグル動物園から、ザリアはデンバー動物園から来ました。

 この2頭が来る以前から、旭山には「のん」という雌の18歳になるトラがいます。トラとしては高齢です。以前は「いち」という雄とペアを組み、繁殖が期待されていましたが、「いち」に先立たれ、これからゆっくりと余生を過ごす予定でした。そのような折、アメリカから若いペア導入の話があり、トラ繁殖に期待感が高まりました。

 そしていざ9月になり、2頭のトラはやってきましたが、おりの中の2頭はおびえているのか、しきりに飼育係を威嚇します。もうじゅう館の寝室に移動した後も、人が前を通るだけで飛びかかってくるほどの勢いでした。

 この状態は数日続き、このままでは繁殖どころか、放飼場に出る練習すらできません。まずは飼育係に慣れてもらうようにしました。仕事の合間に、できるだけ新入りトラの前に行き、プレッシャーにならないよう目を合わせず静かに座り、こちらの姿をただ見せるようにしました。そして寝室から全く出ようとしなかったため、餌で通路へ誘い出し、寝室間の移動で部屋の出入りを覚えてもらうようにしました。

 その後、時間はかかりましたがキリルは外へ出せる段階までになり、1月7日にお披露目しました。

 一方、ザリアはというと、来園時よりは慣れてきましたが、まだおびえているのか信頼されていないのか、威嚇は収まらず、部屋の移動もままならない状態です。まだ時間はかかりそうですが、ゆくゆくはザリアもお披露目できればと思います。

 これで、3頭のアムールトラを飼育することになりました。野生の生息頭数は300~400頭前後まで減り、生息環境の悪化で絶滅が心配される種です。

 今後は旭山での繁殖を目指し、繁殖時期以外は一頭ずつ交代展示。繁殖時期になればキリルとザリアの若いペアと、「のん」とを交代で展示するつもりです。(もうじゅう館担当・高橋伸広)


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