2002年にスタートし、今も多くの来園客に人気のペンギン散歩
旭山動物園で冬期間に行われるイベント「ペンギン散歩」。2002年に始まり、よちよちと歩く愛嬌たっぷりのキングペンギンたちの姿が大勢の来園客を魅了し続けている。同園では4種類のペンギンを飼育しているが、この散歩、実はどのペンギンもできるわけではなく、キングペンギンの習性を利用して成り立っている。 キングペンギンは南極周辺の島々に群れで生息し、エサの魚を求めて集団で何キロも陸地を移動する。その習性を生かして約500メートル、園内を散歩させているのだ。群れにリーダーは存在せず、先頭の1匹が動きだすと、後について集団が移動する。 飼育員の佐藤伸高さん(30)は「ペンギンは泳ぐところが注目されがちですが、自然界の歩く姿も間近で見てほしい」と話す。ひとまわり小さなジェンツーペンギンは同様の習性はないが、好奇心が旺盛なため、散歩への「参加率」が高いという。 同園に「ぺんぎん館」が完成したのは2000年。前年に先行導入したキングペンギン2羽を冬場に試験的に散歩させていたことが、イベントが始まるきっかけだった。坂東元園長は「冬は泳ぐ回数が減り、肥満気味になりがち。食べる量を減らすより、よく食べてその分運動させた方が健康になる」と振り返る。 当時は動物本来の動きをみせる「行動展示」に力を入れ始めたころ。散歩は、ペンギンの健康管理も兼ねた一石二鳥のイベントとして人気を呼ぶようになった。 今季の話題は、昨年(2014年)の6、7月に生まれ、まだ茶色の羽を身にまとっているキングペンギンの2羽のひな鳥たちだ。羽根が抜け替わるのは今年4月ごろだが、過去にはペンギン散歩にひな鳥が参加した例もあったといい、大人の輪の中に入っていつ散歩デビューを果たすのか、飼育員たちは目を細めて見守っている。(東久保逸夫) |