北海道新聞旭川支社
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旭山動物園わくわく日記

ニホンザル*群れのルールも人間似     2014/12/01
毛づくろいをして、くつろいだ姿をみせるニホンザル

 全国各地の動物園でおなじみの「さる山」。サルが赤ちゃんを抱っこしたり、毛づくろいをしたり。愛らしい姿は見る人を引きつけてやまない。旭山動物園は現在、60匹のニホンザルを飼育している。じっくり観察すると、サルならではの「群れのルール」も見えてくる。

 ニホンザルは青森県の下北半島を最北端に国内で幅広く生息しており、寒さに強い。同園のさる山は、屋外で岩山にいるサルを同じ目の高さで見ることができるほか、館内で低い位置から見上げる形で姿を追うこともできる。岩場や木の柱に飛びつく野性味あふれるサルの行動を、さまざまな角度から観察できることが特徴だ。

 飼育員の鈴木悠太さん(26)は「集団で暮らす上でニホンザルなりのルールがある」と指摘する。上下の序列があると言われ、順位の低いサルが高いサルに場所や餌を譲り、群れの安定を図っている。

 群れを率いる強い存在「ボスザル」はこれまでの研究で改められ、今では「α(アルファ)オス」と呼ばれる。最上位の「αオス」がボスとして群れを率いて、外敵と戦う行動に出るとは限らない。「ボスザル」の呼び名とかけ離れているため使われなくなった。

 複雑に見える群れのルールだが、人間と重なる部分もある。メスザルの姉妹の場合、末っ子の順位が高い場合が多い。人間の子育てでも、長女を厳しくしつけ、下の子を甘やかすことがあるのに近い。順位は複数の要因で決まるが、信頼性が大きく左右するとみられる。

 鈴木さんは「ニホンザルは人間に近い行動をするので、じっくり観察して共感できる部分を楽しんでほしい」と話す。ニホンザルの群れに人間社会を重ね合わせると、新たな発見があるかもしれない。(東久保逸夫)


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