来園から2カ月たち、施設にも慣れてきた雌カバの旭子
2013年11月に開設した旭山動物園で最も新しい施設「きりん舎・かば館」。メキシコから今年(14年)夏やってきた雌カバ(2歳)の名前が10月13日、「旭子(あさこ)」に決まった。雄カバの百吉(3歳)と2頭になり、若いカバのペアが人気を呼んでいる。 きりん舎を含めた施設は屋内外約3千平方メートル。約150トンの水を張った屋内プールに、ダイナミックに動きまわるカバの展示が特徴だ。水中でほとんどの時間を過ごす習性を生かし、プールの構造は深さ最大3メートル超に設計した。これまで水中の動きは見えなかったが、ガラス張りにすることで、各方向から動きを観察できるようにした。初めて真下からカバを見上げた来場者は「カバが飛んでいるみたい」と驚く。 新施設での斬新な展示だが、当初は飼育員も不安を抱いた。13年、百吉が屋内プールに移った際、足場を踏み外し、初めて3メートル超の深みに落ちた。見守っていた職員は緊張したが、百吉はすぐさまプールの底を蹴って浮上した。飼育員の高井正彦さん(42)は「あの時は正直びっくりしました」と笑って振り返る。 一方、旭子が屋内プールに挑んだのは来園約1週間後。怖がる様子も見せずスーッと沈んでいく姿に、飼育員たちも肝っ玉の強さに感心した。好奇心が強く、おっとりした百吉に対し、「旭子は気が強くて落ち着いている。それに賢い」と、飼育員たちは口をそろえて言う。 気になるのが、百吉と旭子の今後だ。今は体格の小さい旭子に配慮し、展示室に2頭を同時に入れてはいない。ただ、おり越しにすれ違う時は顔をくっつけるなど、早くもお互いを意識しているという。カバの寿命は40~45歳。5歳ぐらいから本格的な繁殖適齢期に入るとみられる。 高井さんは「カバはあっという間に成長する。この先、2頭の子供が誕生し、新しい動物園の歴史を作っていく姿を楽しみにしてほしい」と話している。(東久保逸夫) |